鉄筋コンクリート造の地中梁、コンクリートスラブ、コンクリ―ト立上りの構成で
断熱は地中梁外・内、コンクリートスラブ下、コンクリ―ト立上り外の断熱厚さを
それぞれ設定しTHERMで検討してみます。
THERMで検討
冬の場合、内部を室温20℃・湿度50%ー外部を気温0℃・80%と設定すると
以下のような温度分布になりました。
Isotherms
内部20℃、湿度50%の空気が結露する温度は13℃ですから
その温度帯が内側表面に露出しないかをチェック。
最低表面温度は約17.5℃であり、露点に達しない表面温度であるから結露しないと考えられます。
全体像はこんな感じで、熱移動量も計算されます。
THERMモデルから解るHertFlowは
内部壁・床:39.16W=外部壁:11.784 W +外部床:27.377 W=39.161W
内部(Interior)からの移動熱量=外部(Exterior)に達する移動熱量ということ。
Isotherms
20℃の温度が0℃の温度方向に流れる様子は
Flux Vector(流速の方向)図で表せられます。
熱移動の方向を矢印で、その大きさを長さで表したものです。
Flux Vector(流速の方向)図
又、温度分布をカラーで表すと下記のようになります。
Color Infrared 1 pixel resolution(カラー赤外線1ピクセル解像度)
今回は基礎地中梁があり、外側の断熱材が厚く、地表面から深くまで施工していることにより、外気温の影響を受けにくく、内部側の断熱厚さがより少なくすることが可能になりました。
パッシブハウスでの内面の最低温度の限度
世界の気候区分に応じて、日本はWarm-temperateに属するのでパッシブハウスの内面の最低基準係数が下図のように決められています。
横軸は 4 Warm-temperate(温帯)
縦軸は Hygiene criterion (衛生基準)を赤枠で囲みました。
室内温度20℃×65%(衛生基準)=13℃
これがパッシブハウスの内面の最低基準温度となります。
これ以下だとパッシブハウスに認定されません。
室温20℃・湿度50%の空気が結露する温度13℃です。
結露するとカビの発生が危ぶまれますので、衛生基準で決められています。
こういう所も日本の基準には見られない基準です。
熱橋の計算
①PHPPのU-Value計算を、THERMモデルを作って単体のU-Valueを確認する。
②上記で作成した単体THERMモデルを合体して床・壁全体からなるHertFlowを計算すると
内部壁・床:39.16W=外部壁:11.784 W +外部床:27.377 W=39.161Wであった。
PHPPでのU-ValueとTHERMでのモデリングによるヒートフロー計算を比較することにより、今回の基礎外周のPsi-Valueを数値化する事が出来た。
このPsi-ValueをPHPPの基礎外周の熱橋として計算することがパッシブハウスの要件である。
Psi-Valueについてはこちら
参考:基礎内側で断熱した場合
THERMでモデリングしてみました。
Isotherms
内断熱は、外周部立上り内側と、床スラブ外周部巾=900mmのみを同じ断熱材(厚さ、仕様共)でモデリングしました。
13℃の露点温度ラインは床スラブを貫通して内部内断熱の中を通ります。
この場合の問題点はコンクリート床と内部断熱材の接点部分が結露する可能性があります。
それは施工精度で空気遮断が完全にできない恐れがあるからです。
20℃の温度が0℃の温度方向に流れる様子は
Flux Vector(流速の方向)図で表せられます。
熱移動の方向を矢印で、その大きさを長さで表したものです。
Flux Vector(流速の方向)図
温度分布をカラーで表すと下記のようになります。
Color Infrared 1 pixel resolution(カラー赤外線1ピクセル解像度)
室温を20℃に維持しようと思うと
外断熱に比べて内部暖房に必要なエネルギーがより多く地面を温めていることに使われていることがよくわかります。たくさん暖房エネルギーがかかりますね。
日本では基礎断熱の場合、土間床の断熱性能が考慮なし。
「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」
(平成27年法律第53号)です。
土間床の断熱性能はゼロでも可能なんです。
土間床を断熱するという項目が抜け落ちています。
これから建物を建てたいと思われている方はご注意くださいね。
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